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左岸

旅先で、ふらりと立ち寄った本屋さんで見つけた江國香織の新刊『左岸』。
大長編で重そうだったのですが、迷わず買い込みました。
辻仁成と、2人の主人公のそれぞれの立場から書いた『冷静と情熱』の時のような競作。
今回、辻仁成は『右岸』<集英社>
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好きな作家のものは、じっくりじっくり文章を味わいながら読んでしまうので、
毎夜少しづつ読み進め、やっと読み終えました。

          おおまかなストーリーは
          福岡で隣同士に住んでいた茉莉と九
          踊ることと兄が大好きな茉莉は17歳で駆け落ちし
          それから、運命に翻弄されながら結婚や出産や
          死別・・を経験していきます。
          そして、やっとあるところまでいきついていく
          こころの成長を描いているやわらかな愛の物語・・かな
          
          
わたしが江國香織が好きなのは、悲しみ方や、よろこび方が同じなのかな・・と思ったりします。一人の人を想う思い方、そこにある空気の吸い方、人に対しての距離感。
それからそれから・・・そこにある人々のささやかな感情のゆらぎをも感じさせてくれる言葉の選び方が好きなのかなー

この本にあるキーワードは(遠くにいく)です。(と、勝手に思ってます)
遠くに遠くに・・と、いつもこころで思いながら、突然に降りかかって来る人生の出来事に身を任せて、年を重ねていくものがたりを読み進めながら、わたしも茉莉と一緒にその言葉の意味を探しているような気持になりました。
そうして見つけました。最後に。
読み終えたときに長い旅を終えたような、成長したような・・じんわりと幸福な気持になりました。
(なので最後をゼッタイに先に見ないように!)

たとえ、どの道通っても行き着いていくこころのありか、は同じような気がしていて、いろんな出来事があってこそ得られる一人の女性として、一人の人間として成長していくこと、そんな道筋を垣間見たような満ち足りた気持になりました。

今は『右岸』を読むかどうか迷ってるとこです。う~む・・





絵本 木のおもちゃの店ウーフ
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by u-hu-yoko | 2008-11-28 23:52 | 一般書