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露草



18年前の秋の日に、一匹のシャムネコがうちに迷ってきました。
どこかの飼い猫かと思いあちこち尋ねてみたけれど、飼い主は見つからず、とうとう、うちに住み着きました。
瞳がラムネの玉の色に似ていたので、子どもたちがラムちゃんと名前をつけました。

それからはしっかりと子どもたちの友達となり、気も強くイヌのコロに負けないほどの番ネコになり、家を守ってくれました。
悲しいことがあると、そのやわらかな胸に顔をうずめ、嬉しいときにはギュウっと抱きしめさせてもくれました。

若い時には恋もしたし子猫も産みました。ラムはラムなりの人生を生きていたのでしょうか?ネコは日記も書かないし、思い出を語るはずはありませんが・・・

18年といえば、お店の年と同じです。
若く輝くようだったラムが、だんだんと静かな存在感をたたえて、そこに存在していることだけで満ち足りているように変わっていったと同じように、好奇心と、あわせて同じくらい不安だらけだった私の気持ちもまた、ゆるぎなく穏やかなものに変わっていったように思います。
長いようで短い月日。

ここ数ヶ月は、もう目も見えず、毛は古びたセーターのようになって、日増しに軽く小さくなって眠ることが多くなっていました。死ぬ準備をしていたのでしょうか、隅っこに隠れよう隠れようとしていたラムちゃんでした。

そして先日、とうとう外に出たまま帰ってきませんでした。
ネコは死ぬ時に姿を隠すと知ってはいましたが、もしかするとそばに居させてくれるかも、とかすかな期待もありました。でも、やっぱり、最後の最後で生きとし生けるものとしての野生としての尊厳を守り通したのですね。アッパレ!

カクゴはしていながらも、さみしくてラムちゃんを捜し歩きました。

でも、家の周りの草むらにはつゆくさが咲くばかり・・・

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by u-hu-yoko | 2007-10-08 20:06 | その他